最近競馬に興味を持ったのでなんとなく読んでみたんですが、評価が難しいマンガですね。つまらなくておもしろい、おもしろくてつまらない。人の絵は下手だけど馬の絵は上手。「凡作寄りのつまらない」か、「凡作寄りのおもしろい」かで悩みます。
一番評価を悩ませるのが、ラストの流れ。最後のレースと最後の1ページは素晴らしい終わり方だと思うんですが、その直前の流れがつまらなすぎるし、それがラストのために必要だったとも思えないんですよね。
あとは中盤で、主人公馬とも呼べる「ラフカットジュエル」を馬主の意向で降ろされる下りもつまらなかったですね。そのシーンも、それを経て何かがあったのかというとそうでもないし。
「荒木飛呂彦の漫画術」で読んだんですが、主人公は常に前進するべきであると書かれています。絶対に負けてはダメだと。それを読んだ当時は「それだとワンパになるじゃん……」と思って否定的だったんですが、この「ダービージョッキー」以外の作品でも、やっぱり主人公がぐだぐだしてるとどうしてもつまらなくなってしまいますね。なので、「ワンパと思われながら楽しませるのがプロの仕事」なんだと、今では解釈しています。
それ以外のツッコミどころだと、ライバル関係のとにかく曖昧でしたね。クソ悪役だった真田もすぐに改心してしまうし、「超絶追い込み馬」というこれ以上なくキャラが立った馬に騎乗する鷹山優は最初から最後まで存在感薄いし、安斉遼は中盤以降は何を考えているのかよくわからなくて存在感が薄れてしまうし。唯一カスティリオーニはちゃんと描けてた……と思いきや、ザワールドとその陣営があまりに強大すぎるせいで微妙に食われてしまうし。
リメイク的な作品を作ればもっともっとおもしろくなると思います。
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